B-SELS ビーセルズ の日記
-
最高の”BAND ON THE RUN”ラウドカット!!!(SUさん所蔵)
2021.08.19
-
これもB-SELSのレコードでないことが、かえすがえすも残念だ。
常連のSUさんが持参された”BAND ON THE RUN”のUK初盤、マトリクス1のいわゆる「ラウドカット盤」は、マザー・スタンパーが何と1M(4番)/1A(3番)の美盤であった。
わがB-SELSにおいても、この「ラウドカット盤」はこれまでに何枚も出品しているが、マザー・スタンパーの最高位は両面とも1GD(10番)であったと記憶している。
イギリスでもよく売れたレコードだけに、マトリクスは2の盤が主流で、ラウドカット盤自体が結構レアなものである。そのスタンパーが両面一桁の美盤など、探したところでなかなか見つからないものだ。
A面の1M、タイトル曲”BAND ON THE RUN”のイントロのギターの艶から申し分ない。暗い監獄から逃げ出し、雰囲気が一変、青空の広がる荒野を走る、あの素晴らしい展開の解放感を表現しているアコースティック・ギターの響き、サビのドラムの音の強さで、この盤の音の良さは十分に理解できる。続く”JET”はベースの重低音が素晴らしい。”BLUEBIRD”のコーラスも美しい。”MRS.VANDEBILT”は、このラウドカット盤が一番聴かせてくれる曲だと思う。イントロのベースの何と力強いことか!この曲が本来持っているスリリングな展開が、このラウドカット盤ではいつも以上に堪能できる。最内周にある”LET ME ROLL IT”も、ギターのリフの音がギラギラして、最後までパワーが落ちない。素晴らしいA面だ。
B面の1Aがさらに素晴らしいことには、もう脱帽だ。”MAMUNIA”のベースにこれほどの破壊力があっただろか。のんびりとしたイメージの曲なのに、力強さを感じさせる素晴らしい音だ。“NO WORDS”もそう。まるで演奏が爆発しているかのように感じる。”PICASSO’S LAST WORDS”もドラムとベースの低音がスゴイ。この曲にこれほどのベースの音が入っていたのかと気づかされる。最後の”NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE”は圧巻。「サージェント」のオーケストラの代わりにシンセサイザーでラストを盛り上げるような曲。その音がどこまで広がるのか、怖いほどだ。
聴き終えた後の心地よい疲労感、脱力感、いやあ、すごかった。
もちろん、一人で聴いても十分に感動できるのだが、所有者のSUさんと一緒に最初から最後まで聴いて、「すごかったですねえ。」と顔を見合わせたこの瞬間、この瞬間の充実感が何とも言えないのだ。好きな音楽を共有できる友達のようなお客さんがいるということは、素晴らしいことだと思う。私はこの店を拠点に、そのような仲間が増えていくことを幸せに思う。
SUさんには、今回、素晴らしい”BAND ON THE RUN”を聴かせていただき、誠にありがとうございました。